#1007 VPN 機器のログから不正アクセスの痕跡 ~ 関西総合システムにランサムウェア攻撃

#1007 VPN 機器のログから不正アクセスの痕跡 ~ 関西総合システムにランサムウェア攻撃 インシデント

今回は、企業のネットワークを守る要ともいえるVPN機器、そのログ分析から不正アクセスの原因を特定した、あるシステム関連企業のランサムウェア被害事例を取り上げます。このニュースからは、IDとパスワードだけで守ることの限界や、万が一侵入を許してしまったあとの、迅速な調査と復旧プロセスの重要性を学ぶことができます。特に、外部からの接続を受け入れる機器のログが、事後対応においてどれほど決定的な役割を果たすのか、そして二次被害を防ぐためにどのような決断が必要になるのか、IT担当者として知っておくべき実務的なポイントが詰まっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。

関西総合システム株式会社は1月23日、2025年12月29日に公表した同社で発生したセキュリティインシデントについて、第二報を発表した。

こちらの記事を、簡単に解説お願いできますでしょうか?

関西にあるシステム関連企業で発生した、ランサムウェア被害に関する続報ですね。この企業では、2025年12月26日に一部のサーバーや端末でシステム障害が発生し、ランサムウェアへの感染が判明していました。その後、外部専門機関と連携して調査を進めたところ、VPN機器のログから、11月中旬以降に不正アクセスの痕跡が見つかりました。侵入の原因は、脆弱性を突かれたわけではなく、正規のアカウント情報、つまりIDとパスワードが悪用された可能性が高いと推測されています。同社は二次被害を防ぐため、感染したサーバー以外も含めたすべての端末の初期化を進めており、現時点では情報の外部漏えいは確認されていないとのことです。

質疑応答

まず基本的なところなんですが、今回原因となったVPNという技術について、具体的にどういうものか教えていただけますか?

VPNというのは、インターネット上に仮想的な専用線を構築して、安全に通信を行うための技術のことです。テレワークなどで社外から社内ネットワークに接続する際によく使われるもので、いわば「会社への直通トンネル」のような役割を果たしています。便利である反面、このトンネルの入り口が突破されてしまうと、外部から社内ネットワークへ自由に侵入できてしまうため、攻撃者にとっても格好の標的になりやすい重要なポイントなんですよ。

入り口だからこそ狙われやすいんですね。今回、ログから不正アクセスの痕跡が見つかったそうですが、具体的にどうやって見つけるんですか?

ログには「いつ」「誰が」「どのIPアドレスから」接続したかという記録が残されています。今回のケースでは、VPN機器が保存しているこの記録を詳細に分析したことで、2025年11月14日から12月26日までの間に、不審なアクセスがあったことが特定されました。通常とは異なる場所からの接続や、普段使われない時間帯のアクセスなどを洗い出すことで、正規のユーザーになりすました攻撃者の動きをあぶり出すことができるんです。

正規のIDとパスワードが使われたということは、誰かのアカウント情報が盗まれてしまっていたということなんでしょうか?

その可能性が非常に高いですね。IDとパスワードによる認証だけでは、それが本人の操作なのか、盗んだ情報を使った攻撃者なのかを区別することができません。フィッシングメールなどで情報を盗まれたり、他のサイトから流出したパスワードを使い回していたりすると、正規の手順で堂々と侵入されてしまいます。だからこそ、多要素認証のような、パスワード以外の要素を組み合わせた本人確認が重要視されているんです。

侵入された後、この会社はすべてのパソコンを初期化しているそうですが、そこまでする必要があるんですか?

ランサムウェア攻撃を受けた場合、単にウイルスを駆除するだけでは不十分なことが多いんです。攻撃者がシステム内部に「バックドア」と呼ばれる裏口を仕掛けている可能性があり、もしそれが残っていると、復旧してもすぐにまた侵入されてしまいます。安全を完全に確保し、二次被害を防ぐためには、手間と時間はかかりますが、システムを一度真っ白な状態に戻す「初期化」が、最も確実で誠実な対応策だといえるでしょう。

大変な作業ですが、安全のためには仕方ないんですね。では最後に、このような被害を防ぐために、他の企業はどんな対策をすべきでしょうか?

やはりVPN装置などの外部接続ポイントには、IDとパスワードだけでなく、スマホアプリなどを使った多要素認証を導入することが不可欠です。それに加えて、今回のようにあとから調査ができるよう、ログを長期間保存しておくことや、そのログを定期的にチェックして不審な動きがないか監視する体制を作ることも大切ですね。侵入を100パーセント防ぐことは難しくても、早期発見と被害の最小化は日頃の備えで実現できますから。

まとめ

便利なVPNも、IDとパスワードだけでは守りきれないリスクがあることや、万が一のときにログが重要な証拠になることがよく分かりました。初期化という大変な決断も、安全のためには必要なんですね。また一つ、勉強になりました!

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